本文
当企業団では、安全で良質な水道水を安定的にお届けするため、「より信頼される広域水道システム」の構築の一環として、災害対策に取組んでいます。
企業団が保有している主要水道施設については、平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災を機に施設の耐震診断を行い、この結果に基づいて耐震補強工事を実施しました。
主な耐震補強工事を実施した施設(平成11年度~14年度)
沈砂池、高架水槽、利根運河水管橋 等
送水管路については、安定した地盤への配管埋設、適所への可とう管や耐震管を採用しています。なお、今後とも経年管の更新などに際して、耐震管への布設替えを行います。
また、高度浄水施設については、最新の「水道施設耐震工法指針」に基づいた耐震性能を確保しています。
水道施設の被災に備え、さまざまな口径の送水管(口径100~2,000ミリメートル)や漏水補修資機材などを備蓄しています。
送水管(ダクタイル鋳鉄管)
漏水補修資機材
高度浄水施設建設にあわせて、構成団体が所有している給水車等への水道水の補給が迅速に行えるよう、応急給水施設を北千葉浄水場内に整備しました。
応急給水栓
災害発生時には、被災現場も含め関係各所との情報伝達が重要となります。固定電話などの通常回線は、通信手段として用いることが困難となることが予想されることから、通常回線に加え、取水場と浄水場を結ぶ固定無線、車載型の移動無線及び防災行政無線、災害時優先電話(固定・携帯)や大規模災害時においても有効に機能する衛星電話を保有しています。
また、送水管路事故に備え、管路情報を搭載したタブレットPCによる迅速な現場情報の収集を行うとともに、情報の一元管理に努めます。
固定無線設備(取水場・浄水場間)
衛星電話(浄水場)
企業団の導・送水管(延長約110キロメートル)は大部分が昭和50年代前半までに布設されたもので、既に30年以上が経過しています。
このため、経年化や埋設場所の土壌環境などによる腐食が懸念されることから、定期的にダクタイル鋳鉄管や鋼管の腐食状況調査を実施し、異常の有無を確認しています。
ダクタイル鋳鉄管腐食状況調査
(センサーによる管厚測定)
災害、事故発生時において、迅速かつ的確に対応するために、非常時における配備体制や連絡体制、事象ごとの対応手順などをまとめたマニュアルを整備しており、常に見直しを行いながら非常時に備えています。
大規模地震等による災害の発生に備え、毎年、防災行政無線を用いた県内水道事業体との情報伝達訓練、企業団全職員による全体訓練及び実動部隊となる対策班別の個別訓練を行っています。
被害状況調査訓練(場内点検隊)
無線伝達訓練(送水管路点検隊)
送水管路の漏水事故などにより送水を停止した場合は、送水再開に際し配管内を充水洗浄する必要があります。このため、洗浄時間を短縮して送水を早期に再開するため、排水能力の増強に努めています。
また、排水施設の能力増強にあわせて、非常時においても送水管内の水質を適正に維持できるよう定期的な配管洗浄や流向変更を実施しています。
災害や水質事故により浄水場から浄水を送水することができなくなった場合でも、調整池に浄水が貯留されていれば、その水を送ることで減断水などの影響を軽減することが可能となります。このため、企業団送水管路の途中にある中里中継ポンプ場等での貯留のほか、沼南給水場(千葉県企業局と企業団の共有施設)の敷地内に調整池を設置しています。
取水場と浄水場を結ぶ導水管は、単一管路(延長5キロメートル、管口径2,400ミリメートル)のため、一度事故が発生した場合の影響は甚大で復旧までに相当期間を要することとなります。
そのため、まず、企業団の水供給システムにおいて上流に位置し、バックアップのない単一管路である導水管の管路更新を最優先事業として実施します。
浄水場と取水場には、事故や災害等による長時間の停電に備えて、自家用発電設備が設置されています。
これまでは、全施設の4分の1相当を運転可能とする発電設備で、燃料備蓄量は12時間分でしたが、経年劣化に伴う設備更新工事に併せ、発電能力を全施設の2分の1相当、備蓄量を48時間分に増強することにしました。
平成29年3月には浄水場の、令和2年3月には取水場の新たな自家用発電設備が完成しました。
取水場自家用発電設備
(ガスタービンエンジン
2,500キロボルトアンペア)
浄水場自家用発電設備
(ガスタービンエンジン
4,000キロボルトアンペア×2)
大規模地震などで水道施設に被害があった場合などを想定して、復旧作業などに従事する職員の派遣、管材や補修材料の供出、送水量の融通など相互応援するための協定を締結しています。