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用語(さ行)

更新日:2020年2月4日更新 印刷用ページ表示
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(出典:日本水道協会発行「水道用語辞典」より  同義語(=○○*)については企業団で追記)

財政計画(ざいせいけいかく)=財政収支計画

予算統制や投資計画決定などの内部管理や外部報告、あるいはサービス提供の対価の決定などの諸目的のために策定されるもので、業務運営上必要な全部または一部の支出と、この支出をまかなうための財源との対応関係について金額を表示した計画。財政計画は、策定目的の相違により、いくつかに類別できる。まず、計画期間の相違により、長期計画、中期計画及び短期計画の三つに、次にその内容の相違により、総合計画と水道施設拡張計画のような個別計画の二つに、さらに基本計画と業務計画の二つに類別される。

酸化力(さんかりょく)

狭義には酸素が他の物質に化合するか、またはある化合物から水素を取り去る反応。広義には化合物が電子を失い構成原子の原子価(酸化数)が大きくなること。還元の逆の過程。

サージタンク(さーじたんく)=調圧水槽

ポンプの急停止によって発生する水撃作用からポンプ、バルブ、管路を守るために設けられた水槽で、調整水槽ともいわれる。ワンウェイサージタンクは圧力降下時に必要量の水を管路内に供給して負圧の発生を防止するもので、常時は逆止弁によって管路と分離される。ツーウェイサージタンクはコンベンショナルサージタンクともいわれ、ポンプ近くに設置される流出入可能な連絡管をもつ水槽で、圧力上昇を吸収し、圧力降下時には水を補給して水撃作用を軽減するとともに、その下流側の管路を水撃作用から切り離す働きがある。

GIS(じ-あいえす)=ガス絶縁開閉装置

ガス絶縁開閉装置のこと。特高受変電設備において、母線・遮断器・断路器など、開閉装置の充電部を円筒状の接地金属容器内に収納し、充電部と接地金属容器との間に空気の約3倍の絶縁性能を有するSF6ガスを満たした構造になっている。空気絶縁による開閉装置に比べて高い信頼性、安全性、省スペース、メンテナンスなど多くの点で優れた特長があり、現在66キロボルト級以上の受変電設備に広く用いられている。

ジェオスミン(じぇおすみん)

Streptomyces griseusなど放線菌またはAnabaena macrosporaやAnabaena sporpodesなどの藍藻類によって産生される。異臭味物質として知られ、カビ臭を呈する。粉末活性炭処理の場合と粒状活性炭等恒久施設の場合の快適水質項目としての目標値がそれぞれ定められている。測定法には、パージトラップ-GC-MS法、固相抽出-GC-MS法、ヘッドスペース-GC-MS法がある。

自家発電設備(じかはつでんせつび)=自家用発電設備*

電力会社から供給を受ける電力とは別に、事業所内で必要な電力を自前で賄うための発電設備。非常用と常用があり、使用機関は主にディーゼルとガスタービンである。非常用は、電力会社からの電源供給が途絶えた時や、受変電設備の故障時などの非常用電源として、照明、換気、消火設備、通信設備及び監視制御設備等への最小保安電力を確保するために設置する。常用設備は、発電所における電力発生源のように常時運転されるものをいう。なお、非常用と常用とでは設置届出などの法規が異なるため、導入の際には留意が必要である。

資産(しさん)

企業が有する財貨及び権利で、固定資産、流動資産及び繰延勘定に区分される(地公企令14条)。資産は、将来の収益を生み出すための費用の前払的性格を有していると考えられており、企業が一会計期間を通して支出したものの中において、その期の費用とはされずに、企業内に留保された経済価値として認識される。資産勘定は、その増減及び異動並びに現在高を明らかにするものとされている(同令16条3項)。そして、貸借対照表上の借方に整理される資産は、将来の収益獲得のために役立つ価値を有しており、貸方の資本及び負債は資産の取得の源泉を表している。

地震対策(じしんたいさく)=震災対策

地震による影響を最小限にするための対策。発災前及び発災後の対策に分けられる。水道では、発災前における対策としては、施設の耐震設計や耐震管の採用、システム面では基幹施設の分散や水源間の相互融通を可能とする連絡管の整備、電源の異系統化や複数化、自家発電装置の設置、緊急時対応の無線の整備、また配水池につながる主配水管の破損が引き起こす貯留水流出による二次災害を防ぎ、非常用の飲料水を確保するための緊急遮断弁の設置などがあげられる。また、発災後における対策としては、応急給水の方法や復旧の組織など要綱を定め、水道事業体と行政側との調整を図ること、復旧に必要な資機材の備蓄を行うことなどがあげられる。これらの対策により、被災者の生命維持及び人心安定の基本となる飲料水、医療用水、消火用水及び生活用水を確保することができる。初期消火が速やかに行えることで、被害の拡大と二次災害を防止できる。

自然流下方式(しぜんりゅうかほうしき)=自然流下注入方式*

位置エネルギーを利用して水を流下させる方式。ポンプ圧送方式に対する用語である。自然流下方式には開水路(開渠と暗渠)を用いる無圧流下方法と、管路による有圧流下方法とがある。

支払利息(しはらいりそく)

営業外費用の一つで、企業債、他会計からの借入金、一時借入金等について支払う利息をいう。利息は、借入れの事実が存在する期間の経過に従って発生するものであるから、発生の原因である事実の存した期間によって、その額を割り振るものである。ただし、毎年度の支払利息の額がほぼ平均している場合には、実際に利息の支払を行った額をその年度の費用として経理することができる。

資本的収入及び支出(しほんてきしゅうにゅうおよびししゅつ)=資本的収支*

収益的収入及び支出に属さない収入・支出のうち現金の収支を伴うもので、主として建設改良及び企業債に関する収入及び支出である。収益的収支とともに予算事項の一つである「予定収入及び予定支出の金額」を構成する(地公企令17条1項・2項)。資本的収入には企業債、出資金、国庫補助金などを計上し、資本的支出には建設改良費、企業債償還金などを計上する。資本的収入が支出に対して不足する場合には、損益勘定留保資金などの補てん財源で補てんするものとされている。

収益的収入及び支出(しゅうえきてきしゅうにゅうおよびししゅつ)=収益的収支*

企業の経常的経営活動に伴って発生する収入とこれに対応する支出をいう。資本的収入及び支出とともに、予算事項の一つである「予定収入及び予定支出の金額」を構成する(地公企令17条1項・2項)。収益的収入には給水サービスの提供の対価である料金などの給水収益のほか、土地物件収益、受取利息などを計上し、収益的支出には給水サービスに必要な人件費、物件費、支払利息などを計上する。発生主義に基づいて計上されるため、収益的支出には減価償却費などのように現金支出を伴わない費用も含まれる。

修繕費(しゅうぜんひ)

営業費用の一部をなす。有形固定資産、たな卸資産などの維持修繕に要する費用である。

重力式ダム(じゅうりょくしきだむ)=重力式コンクリートダム*

コンクリートダムの一種で、貯水池の水圧などの外荷重に対し、堤体自重で抵抗し、これを下万の基礎岩盤に伝達する形式のダム。ダムに作用する荷重は、河床部で最も大きくなり、両岸岩盤では小さい荷重を受け持つため、基礎岩盤には河床部へ行くほど堅硬で強度の高い岩盤が要求される。ダム下流面を利用して大容量の洪水吐を設置できるという利点もあるが、水平荷重に抵抗するのに必要な堤体積を有することが必要で、ダム体積が大きくなるため、一般に建設費が高く工期が長くなることなどの欠点もある。

重力式ろ過(じゅうりょくしきろか)=重力式*

池内に自由水面をもち、自然流下のもとで重力による水圧を利用してろ過を行う方法。通常、ろ過池は鉄筋コンクリート構造で水面開放形であるから、開放式の別名がある。圧力式ろ過に比較してろ層の状態や洗浄の様子を監視するのに都合がよく、保守が容易であるという長所がある。上水道では最も広く用いられている。

取水(しゅすい)

地表水、河川水、湖沼水及びダム水、地下水から適切な取水施設を使い原水を取り入れること。取水量の大小、設置地点の状況、水質、利水の状況などを考慮して取水地点を選定する必要がある。なお、取水施設選定には、計画取水量を安定して取水できる地点と規模を考慮すること。取水施設には、河川、湖沼などでは取水堰、取水門、取水塔、取水枠、取水管渠があり、地下水では浅井戸、深井戸、集水埋渠がある。

取水管渠(しゅすいかんきょ)=取水渠*

河川から自然流下により原水を取水するために、(複断面)河川の低水護岸などに設ける鉄筋コンクリート製、ダクタイル鋳鉄管製、鋼管製等の管渠と取水口とで構成される施設のこと。流況が安定していて水位の変動が少ない、比較的中量以下の取水に適している。取水口は前面にスクリーンと必要に応じて砂だめを設けるとよい。また、管渠の上流部には原則として制水弁や仕切弁を設けることとされている。

取水ゲー卜(しゅすいげーと)=取水門*

河川の表流水や湖沼の表層水の取水量を調整するために、取水口に門型の鉄筋コンクリート製の取水門に設置した鋼製または鋳鉄製のゲート。一般的には、前面に設置するスクリーンと取水ゲートから構成される。その開閉は一般に動力により行われ、比較的少量取水に適する。

取水口(しゅすいこう)

原水を管または水路などにより取り入れる入口で、その位置を取水地点といい、取水するためにそこに設置される施設を取水施設という。取水施設は、計画取水量が安定して取水でき、取水口に土砂が流入したり、堆積したりしない構造とし、維持管理に支障をきたさないように配慮する必要がある。なお、取水口の位置は水利使用の許可内容となっている。

取水施設(しゅすいしせつ)

原水を取り入れるための施設総体をいう。河川水や湖沼水などの地表水の取水施設としては、取水堰、取水門、取水塔、取水枠、取水管渠があり、地下水や伏流水の取水施設としては、浅井戸、深井戸、集水埋渠がある。取水施設の設置にあたっては水質が良好であって計画取水量(計画一日最大給水量を基準とし、その他必要に応じた水量を加算)が年間を通じて確実に取水できる地点、規模、取水方法、維持管理などを考慮して施設の計画をすることが必要である。

取水堰(しゅすいぜき)

河川に堰を設置して流水をせき上げし、計画取水量を安定して取水するための取水施設の一種。ゲートにより水位が調節できるものを可動堰、調節できないものを固定堰という。固定堰は洪水の流下に影響が大きいので、設置が厳しく規制されている。堰本体は取水口、沈砂池などが一体となった大規模構造物となることが多く、設置位置は、両岸が並行かつ直線で流量が安定していることが望ましい。なお、潮止め効果により淡水を取水するために河口近くに設ける堰を河口堰といい、新規利水を開発するものもある。

受水槽(じゅすいそう)

給水装置からの水を直接受水するための水槽。各水道事業体の基準により直結給水方式ができない場合、または需要者が常時一定の水量を使用する場合などに設置される。建築基準法により、衛生上及び保守管理上必要な構造上の基準が定められている。水槽に使用する材質として、鋼板・ステンレス鋼板・プラスチック・木材などがあるが、使用目的、使用方法に適した材質を選定する必要がある。水質面からは光線を透さないことも重要である。容量の決定は、計画一日最大使用水量の4/10~6/10程度が一般的基準となっている。有効容量が10立方メートルを超える受水槽は簡易専用水道として飲料水の衛生確保のため、定期的に検査を受ける様法の規制対象としている。受水槽の管理については水道法のほか、建築物における衛生的環境の確保に関する法律(ビル管理法)、その他各地方自治体の要綱などにより規制されている。最近では、水質衛生管理の有効手段として直結式給水方法を採用する場合もある。

受託水道業務技術管理者(じゅたくすいどうぎょうむぎじゅつかんりしゃ)

第三者委託により水道の管理に関する技術上の業務の全部または一部を受託した水道管理業務受託者は、その受託した技術上の業務を担当させるため、水道技術管理者の資格要件を満たす受託水道業務技術管理者1人置かなければならない。受託水道業務技術管理者は、受託業務の範囲内において水道技術管理者の行うべき事務に従事し、及びこれらの業務に従事する他の職員を監督しなければならない。(水道法第24条の3第3項から5項)

出資(しゅっし)=出資金*

地方公共団体が、一般会計または他の特別会計から地方公営企業の特別会計に資本を出捐することをいう。 出資には、経費の負担区分に基づく義務的なもの(地公企法17条の2第1項)と地方公共団体の任意に基づくもの(同法18条1項)とがある。なお、任意による出資を受けた地方公営企業は、経営の状況に応じて納付金を一般会計等に納付するものとされている(同条2項)。

受電設備(じゅでんせつび)=受変電設備*

電力会社などから特別高圧または高圧で電気を受電する設備。必要とする電圧に変電したうえ各施設へ電気を供給する部分まで含めていう場合が多く、受変電設備ともいう。受電設備は、受電系、変圧器系及び二次母線系に分割でき、遮断器、断路器、変圧器及び保護継電器などで構成される。受電方式には、1回線受電、常用予備2回線受電、平行2回線受電、ループ受電及びスポットネットワーク受電の方式がある。水道施設においては、各施設の重要度にも関係するが、2回線受電で2バンク以上の単一母線方式が多く採用されている。

浄水(じょうすい)

河川、湖沼、地下水などから取水した原水は、種々の物質、生物、細菌などが含まれているので、そのままでは飲用に適さない。これらの水中に含まれている物質などを取り除き、飲料用に供するための適切な処理を行い、水道法に定められた水質基準に適合させる操作をいう。また、この処理操作を浄水処理といい、それを行う場所を浄水場という。またこのような操作を受けた水も浄水という。

浄水施設(じょうすいしせつ)

水源から送られた原水を飲用に適するように処理する施設。一般的に、凝集、沈澱、ろ過、消毒などの処理を行う施設をいう。浄水処理の方式は水源の種類によって異なるが、(1)塩素消毒のみの方式、(2)緩速ろ過方式、(3)急速ろ過方式、(4)高度浄水処理を含む方式、(5)その他の処理、の方式のうち、適切なものを選定し処理する。

浄水場(じょうすいじょう)

浄水処理に必要な設備がある施設。原水水質により浄水方法が異なるが、一般に浄水場内の施設として、着水井、凝集池、沈澱池、ろ過池、薬品注入設備、消毒設備、浄水池、排水処理施設、管理室などがある。

浄水場排水処理施設(じょうすいじょうはいすいしょりしせつ)=排水処理施設

浄水処理工程から排出される沈澱スラッジやろ過池の洗浄排水を、濃縮、脱水、乾燥などにより処理する施設を排水処理施設といい、浄水場で行われるものを浄水場排水処理施設という。処理方式には、主に天日乾燥方式、石灰添加加圧脱水方式、無薬注加圧脱水方式、造粒脱水方式、凍結融解方式がある。

浄水処理(じょうすいしょり)

水道水としての水質を得るため、原水水質の状況に応じて水を浄化すること。固液分離プロセスと消毒プロセスとを組合わせたものが中心となっている。通常の浄水処理を行っても浄水水質の管理目標に適合しない場合は、活性炭処理法、オゾン処理法、生物処理法などの高度浄水処理プロセスを組合わせて行う。

浄水池(じょうすいち)

浄水場内において、浄水処理の運転管理上生じるろ過水量と送水量との間の不均衡を緩和するとともに、事故時または水質異常時における水量変動の対応などのために浄水を貯留する池。浄水施設としては最終段階の施設であり、また浄水を貯える重要な施設であるため、覆蓋し、水密性かつ耐震性をもった構造とする必要がある。容量は計画浄水量の1時間分以上を標準とする。

使用水量(しようすいりょう)

各需要者が使用した水量で、水の供給の対価である水道料金を算定する基礎となる。使用水量は水道メータにより計量されるが、水道メータの異常、漏水その他の理由により使用水量が不明な場合は、過去の使用実績あるいは一定の根拠に基づいて算出した水量をもって認定し、決定される。これを使用水量の認定といい、この水量を認定水量という。

消費税(しょうひぜい)

平成元年(1989)4月1日から適用となった間接税の一種。原則として、すべての物品及びサービスの消費に対して、また、製造、卸売、小売の各段階で課税される多段階の一般消費税である。この消費税の導入に伴い、地方公共団体の財貨・サービスの提供の対価としての料金などについても一部の非課税となるものを除き、一定率の消費税が課税されることになり地方公共団体は納税義務者となった。ただし、国もしくは地方公共団体にあっては、一般会計または特別会計ごとに一つの法人が行う事業と見なして法律の規定を適用する(消費税法60条)。

条例(じょうれい)

地方公共団体が自治立法権に基づいて制定する法の一形式。地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて、地方公共団体の事務に関し、条例を制定することができる。義務を課し、または権利を制限するには、法令に特別の定めがあるものを除くほか、条例で規定しなければならない(自治法14条1項、2項)。条例には法令に特別の定めがあるものを除くほか、違反した者に対して2年以内の懲役、100万円以下の罰金等、または5万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる(同条3項)。条例の制定及び改廃は、議会の議決により成立する(同法96条1項1号)のを原則とするが、長の専決処分が認められる場合(同法179条1項)もある。条例は、公布することにより、その効力を生じる(同法16条3項)。

水源(すいげん)

一般に取水する地点の水をいうが、河川最上流部やダム湖などその水の源となる地点の水を指す場合がある。水源の種類には、河川表流水、湖沼水、ダム水、地下水、湧水、伏流水がある。水道用水源は、現在及び将来についても計画取水量を常時確保できる等量的に安定していること、水質が水道用として供するにふさわしい良好なものであること、の二つの条件を満足することが望ましい。

水酸化ナトリウム(すいさんかなとりうむ)=苛性ソーダ

一般にNaOHで表される。分子量40、密度2.13、白色半透明の固体。潮解性が強く、水に溶解するとき発熱する。その水溶液は強アルカリ性である。カセイ(苛性)ソーダともいう。凝集処理などで、アルカリ剤としてソーダ灰(炭酸ナトリウム)と同じように使用する。

水質汚濁(すいしつおだく)=水源水質の汚濁*

河川、湖沼、海洋、地下水等の自然水系に種々の物質が混入し、水質が自然水本来の状態でなくなること。原因的にみると、洪水や火山活動などに伴って発生する自然汚濁と、人間活動に伴う排出物による人為汚濁とに分けられるが、一般的には人間活動に伴って流入する汚水(家庭排水、工場廃水、農業・畜産廃水等)によって水質が利用目的にそぐわなくなったり、美観上不快に感じるようになったりする程度の汚れを指す。また、水質汚染と同義に使われることもある。

水質基準(すいしつきじゅん)

水を利用し、供給し、または排出する際に、標準とすべき基準。個々の目的に応じて基準内容は様々であり、また、基準の形式及び制定主体もいろいろである。主な法的基準としては、水道法(水道水)、下水道法(公共下水道への排除及び下水道終末処理放流水)、廃棄物処理法(し尿処理放流水)、水質汚濁防止法(特定施設排出水)、環境基本法(水質環境基準)などがある。

水質計器(すいしつけいき)

水源の水質変動や水処理工程・送配水管網での水質監視と、浄水処理過程における薬品注入(凝集剤、アルカリ剤、消毒剤等)の制御に用する連続測定用の計器。薬品注入制御用には、濁度計・pH計・残留塩素計などがあり、上記以外には、水温計・溶存酸素計・電気伝導率計・アルカリ度計・油膜検知器・油分モニタ・UV計・ORP計・塩素要求量計・塩素イオン計・溶存オゾン計・アンモニア性窒素計・高感度濁度計などがあり、制御・監視目的としてプラントによって組合わせて使用される。

水質検査(すいしつけんさ)

配水池水や給水栓水のような浄水について水質試験を行い、その結果を水質基準項目ごとの基準値や塩素消毒の基準に照らして適合しているかどうかを判定することをいう。その他の場合、例えば浄水でも基準適否の判定をしない場合、原水または浄水処理工程中の水、あるいは漏水など浄水以外の試料水の場合は水質試験という。水道では、水道法施行規則及び通知により、定期及び臨時の水質検査の項目、頻度、採水場所等が定められているが、必要に応じて水質検査・試験を行い、水源の水質監視、浄水処理工程の水質管理、送・配・給水施設における水質管理を行うことが重要である。

水質事故(すいしつじこ)

何らかの原因により、油、化学物質、微生物などが川や湖沼に流れ込む突発的な事故をいう。水道にとっては、異臭味や最悪の場合は健康被害といった水質障害を引き起こす恐れがある。水質事故への対応としては、取水、浄水における非常用体制の整備を図るとともに、可能であれば、原水調整池を設けて、非常の場合でも断水を避けることができるようにすることが望ましい。

水道施設(すいどうしせつ)

水道のための取水施設、貯水施設、導水施設、浄水施設、送水施設及び配水施設であって、当該水道事業者、水道用水供給事業者又は専用水道の設置者の管理に属するものをいう(水道法3条8項)。水道のための施設であっても、水道事業者が管理権を有しないものは水道施設ではない。また、他の用途との共用のものであっても、その管理権を水道事業者が有する場合は水道施設であって、必ずしも所有権を必要とせず、管理権を有すれば足りる。

水道事業者(すいどうじぎょうしゃ)

水道法6条1項の規定による厚生労働大臣の認可を受けて水道事業を経営する者をいい(同法3条5項)、慣用的に水道事業体ともいう。水道事業は、原則として市町村が経営するものとされている(市町村営原則主義、同法6条2項)。

水道週間(すいどうしゅうかん)

国民に「水の大切さ」についての認識と「水道」及び「水道事業」への理解と協力を得るために、厚生労働省、都道府県、市町村、並びに水道事業体の主催、日本水道協会、全国簡易水道協議会の協賛により、毎年6月1日から7日まで中央行事のほか各地で諸行事が開催される全国的な水道の広報週間である。開催期日については、第1回が昭和34年(1959)7月25日から31日まで、第2回から第5回までは6月の第1週、第6回以降は現行のとおりとなっている。また、名称も当初は「水道週間」、第3回から第10回までは「全国水道週間」、第11回以降は再び「水道週間」となっている。

水道水(すいどうすい)

水道法3条1項に定める水道から供給する水。水道水は、人の飲用に適する水でなければならない。このことから、水道水が備えなければならない水質上の要件が同法4条に定められ、その要件に係る基準の具体的事項については、水質基準に関する省令(平成4年厚生省令69号)で定められている。

水道用水(すいどうようすい)

水道法に規定された水道施設により供給される、人の飲用に適する水のこと。また水道用水供給事業者から水道事業者に供給される水。

水道用水供給事業(すいどうようすいきょうきゅうじぎょう)

水道事業が一般の需要者に水を供給する事業であるのに対して、水道により、水道事業者にその用水を供給する事業をいう。ただし、水道事業者または専用水道の設置者が他の水道事業者に分水する場合を除く(水道法3条4項)。すなわち、水道用水供給事業は水道水の卸売業である。水道用水供給事業は、広域水道の一形態であり、全国で数多く設けられ、府県営と企業団営とがある。

生物活性炭処理(せいぶつかっせいたんしょり)

前塩素処理、中間塩素処理を行わない粒状活性炭処理では、運転の継続とともに活性炭層に微生物が増殖する。このような状態の活性炭を生物活性炭(BACと略記)といい、吸着だけでなく、生物による処理効果も期待するものを生物活性炭処理という。粒状活性炭処理の場合と同様、生物活性炭ろ過という場合もある。生物活性炭処理ではアンモニア態窒素の除去だけでなく、生物分解性の有機物の除去も期待できる。除去機構は液側から生物への直接取り込み・分解や、吸着した物質を直接または脱着後分解するなど考えられているが、十分な解明はされていない。

生物難分解性物質(せいぶつなんぶんかいせいぶっしつ)

生物は有機物を代謝・分解しているが、環境水中の微生物代謝において、分子量の大きなもの、または構造的に微生物が取り込めない、または時間のかかる有機淵がある。このような有機物を生物難分解性物質という。難生分解性、難生物分解性ともいう。分子量が大きく、トリハロメタン生成の前駆物質であるフミン質や、臭気物質、農薬、有機塩素化合物などがこれに総投資、その毒性や処理性が問題となっている。

接合井(せつごうせい)

導水渠の分岐点、合流点、屈曲点及び管水路に変化する場所などに設置するマス(桝)をいう。

ゼータ電位(ぜーたでんい)

水溶液中に存在する微細なコロイド粒子は、その粒子表面近傍に電気二重層を形成する。この粒子が水中を移動するときの電気二重層のすべり面の電位がゼータ電位(ZP)である。測定法としては、顕微鏡下において粒子の移動速度(易動度)を測定する電気泳動法(顕微鏡泳動法)が最も利用される。易動度とゼータ電位の間には次式の関係がある。

ZP=4πη/D×M×9,000

ここで、ZP:ゼータ電位(mV)、η:懸濁度の粘度(poise)、D:懸濁液の誘電率、M:易動度(μm/s/V/cm)。

 その他の測定法として、電気浸透法、流動電位法、沈降電位法などがある。  浄水処理においては、ゼータ電位は凝集が進行するかどうか定める重要な指標として用いられており、ゼータ電位が凝集臨界電位の範囲に入っていることが凝集の必要条件と考えられている。

線速度(せんそくど)

空筒(塔)速度→空間速度、ろ過速度

送水(そうすい)

浄水場で、処理された浄水を配水池などまで、管路などによって送ること。

送水施設(そうすいしせつ)

浄水場から配水池までに浄水を送る施設をいい、調整池、送水ポンプ、送水管、送水トンネル及びその付帯施設である。

損益勘定留保資金(そんえきかんじょうりゅうほしきん)

資本的収支の補てん財源の一つで、当年度損益勘定留保資金と、過年度損益勘定留保資金に区分される。当年度損益勘定留保資金とは、当年度収益的収支における現金の支出を必要としない費用、具体的には減価償却費、繰延勘定償却、資産減耗費(現金支出を伴う除却費を除いたもの)などの計上により企業内部に留保される資金をいう。ただし、当該年度に欠損金が見込まれる場合は、これに相当する額を控除した範囲内でしか補てん財源として使用できない。過年度損益勘定留保資金とは、前年度以前に発生した損益勘定留保資金であるが、当年度の補てん財源として使用できる額は、過年度に使用した額を控除した残額である。